和式四弦 レアエワル LE'A'EWALU 絹糸弦 鈴木慎一 Shinichi Suzuki








古式拭漆に併せて絹糸絃は春先にしか繭が手に入らない貴重な国産蚕の名門丸三ハシモト製となっております。

同社絹糸は奈良・正倉院に保存されている1300年も以前の国宝修理にも使われていることからも品質レベルは日本一、同時に世界一という無双状態であります。しかし、丸三ハシモトが廃業したら同時に日本から絹糸弦が消滅することになるかもしれません。漆同様、日本伝統工芸が窮地に置かれていることが一人でも多くの方に知っていただければ幸いです。

絹糸絃は触れてみると分かりますが三味線や箏同様に独特な摩擦感を持ち演奏後の指先には何ともいえない後味が残るのが特長のひとつであります。詳細は丸三ハシモトのサイトを参考にしてください。

和式四絃はウクレレのようなストローク奏法ではなくしみじみと弦との対話を楽しむようにスローテンポをキープしながら、しっかりと指の腹で絹糸弦を擦るように弾くことをお勧めします。演奏前の嗜みとして両手爪の手入れを怠りますと絹糸に傷がつき断絃時期が早まることになりますのでくれぐれもご注意を。

漆にしても絹糸にしても日本伝統そのもの、だからこそ一切の妥協のない LE'A'EWALU の真剣な取り組み姿勢がオーナーには必ず伝わると思っております。

叢雲・瀧波の開発において躯体スケールをどうするかということで大先輩である中華四弦の小阮・中阮・大阮同様にサイズを分けることも考えられたのですが、絹糸弦の特長を活かしながらも商品としてのレベルを維持するために現時点ではテナーサイズまでが適当ということにいたしました。

躯体サイズの選択が広がれば音楽観も広がりますので今は期待して待っていたいと思います。それこそ和式六弦なんていう商品も不可能ではないと思っております。

[和式四弦]絹糸絃セットに使われている蚕の品種名は「春嶺×鐘月(しゅんれいしょうげつ)」といいます。春に発育が良い二つの繭のかけあわせによって生まれたものであり丸三ハシモトの宝のひとつであります。





和式四弦は生涯、あなたの友です。澄んだ夜空の月を見上げ、悠久の情景を楽しみながら自由気まま、勝手きままに絹糸に触れてください。

自然界の発する様々な音に包まれながら四本の黄色の絹糸と風の糸を紡ぎ、自分だけの音色を響かせることが出来れば「鳴弦の儀」同様、あなたは厳かな悠久の時間と空間を手にすることができるはずでしょう。

弦月という言葉がありますが輝いている半円外周を弓とそれに張った弦に見立てているわけですが弦樂器の由来と重ねてみると何とも親近感が沸く情景ではないでしょうか。

上弦の月、下弦の月・・・日本人にとって「弦」という名詞は「月」同様に昔から今に至るまで、とても身近な存在だと思いませんか?もし月が無くなったら地球は今のままの自転を維持しながら太陽の周りをこれからも回れるのでしょうか。二度と月の見られない夜を想像してみてください。言葉にできないほど寂しいのではないでしょうか。世の中から弦が無くなっても同様な思いでしょう。