下の「源氏物語絵巻」に描かれている琵琶を奏でながら、逢瀬のひとときを過ごしている様は現代の男女の姿と何ら変わらない光景です。 国学者・本居宣長先生は、「源氏物語絵巻」の真髄とされる「物の哀れを知る」は、平安時代の王朝文学上、重要な美的理念の一つと御指摘されています。 日常における、しみじみとした情趣や無常観は日本文化において美意識や価値観に大きな影響を与えた思想であり、今なお時代を超えて多くの日本人に備わっている感覚でしょう。 「侘び寂び」の感覚はまさに周囲を海に囲まれた狭い日本だからこそ皆与えられた状況を受け入れ、それぞれ人生を生き抜くという覚悟から生まれたのではないでしょうか。
~源氏物語絵巻より~