LE'A'EWALU











一般的に撥弦樂器として求められる性能は、

① 「演奏しやすい」
② 「音程が安定していて音響・音色が良い」
③ 「糸巻き、ナット、サドル、ネックを含めた体躯全体がいつまでも頑丈で変形しない」ことであります。

これは琵琶でも阮咸でもウクレレでも全ての撥弦樂器共通項目であり鈍(ナマクラ)でないことの必要条件でしょう。

基本設計、採用材料、製造技法のいずれかひとつでも手を抜けば銘器は生まれません。いろんな条件が調和されてこそ、素晴らしい樂器となることは言うまでもありません。



叢雲(ムラクモ)



瀧波(タキナミ)


LE'A'EWALU は世界中の人々がこの樂器を見ただけで和式四弦と判るような逸品を作りたいという一心から上記スペックに加えて意匠を凝らしたフォルム、ヘッド、ネック、ボディ、指板、サウンドホール、サドル、ブリッジそして弦と徹底して「日本デザイン」にこだわった和式四弦を完成しました。

単に「音が良くて演奏できればいい」樂器というだけではなく外観を含めてオーナーたちに所有する喜びを最大限に与えてくれる演奏せずとも陳列しておくだけでも存在感の大きい上質な木製プロダクトです。

特長あるポジションマークの配列は弦樂器ビルダーの遊び心そのものです。樂器デザインについて芸術性ばかり追求していた我々にとってビルダー高橋氏は「樂器は楽しむ器(モノ)」という本質的な部分でのメッセージをくれました。彼は屈指の弦樂器ビルダーとしてこれからも世界に日本製撥弦樂器のレベルの高さを証明し続けてくれるはずです。

本来、ビルダー高橋氏のリリースする弦樂器はSD-120の外容からも分かるように独特の世界観を持ち、叢雲・瀧波とは一線も二線も画すデザインですので旧いテイーズのファンからすればかなりの衝撃的な作品でしょう。


   

   


商標はこの「魂の器」でありますが弦は一番はじめに「演奏者の魂」と触れ合う部分「魂の導火線」であります。

日本最古の弦は金属弦でもナイロン弦でもなく絹糸であったという史実に従い、和式四弦に相応しい希少な絹糸絃をセレクトしました。もし、入手できる弦材料がナイロン弦、金属弦しかなければ和式四弦は有り得ません。それではただの和製ウクレレです。

「琴線に触れる」という言葉がありますが、日本人独特の感情表現において心の中にある目に見えない臓器(琴線)を指していることからも「琴線=絹糸」は古来より、日本人 において身近で深い関わりがあったことを現在に証明しているのではないでしょうか。

音を増響させるボディは当初、琴同様に桐を考えたのですが長期耐用の点で難アリという結論に達し千年後の正倉院に蔵庫してもらえるようにと保存の良い、ギターやウクレレでは馴染みのマホガニー、指板には古来日本から幅広い伝統工芸に使われてきた紫檀をセレクトしました。

さて開発中、筐体デザインだけでなく弦の太さとバランス、張力特性、音響感においていかに最大公約的な樂器に仕上げるのか丸三ハシモト・橋本英宗氏らと煮詰めました。

無機的かつ性質安定の化学繊維とは異なり日本酒同様、絹糸絃は年度毎の自然環境に左右される有機質素材なのでオーナーにとっては毎年の気象差違を感じられるとすれば絹糸そのものが「鑑賞対象」のひとつになることと思います。

演奏の基本は4本の弦から構築されますがチューニング設定は最高のテンションで440Hz、 G⇒C⇒E⇒Aを標準としております。どうか絶妙なLE'A'EWALU 絹糸テイストをぜひ堪能ください。

耳障りでなければ439Hz、438Hzと下げていくのも断弦を遅らせてくれつつも、いにしえの趣きとなることでしょう。

両者ともに全身の贅肉をこれ以上なく削いだデザインであることが見てお分かりになると思います。このようにトータルバランシングについては、これ以上有り得ないほどのシミュレーションを経て決定しました。

和式四弦、和式四弦改の愉しみ方のひとつとしては高杉晋作の「道中三味線」のように吟行の相手として旅の先々にまでも携帯し現地の景色や空気、季節と共に気の向くままに絹糸絃を弾いてみるのも乙なものでしょう。

俳句、詩と併せて絹糸の音色と振動は自分が日本人であることを再認識させてくれることは間違いないでしょう。弾けない人でもチューニングさえ合わせられれば左手は適当に押さえて構いません。自分の気に入った音色を見つけてみてください。

もし、経験者ならゆっくりと青空を流れる雲の如く右の親指で絹糸を撥ねてください。短いメロディで構いません。自分の心情を表現出来たときの感動のヴァイブレーションはまさに筆舌難し。ポイントはスローに一音づつを確かめるように色んな音を出してみてください。気に入った単音をそれぞれ思いのままにつなげていけば簡単にオリジナルメロディが作れます。禅と同様、自ずから心をコントロールし「空」「無」の瞬間が得られれば きっと和式四弦と同体化できる極地に至ることでしょう。絹糸の独特な抵抗感こそが先人たちの感じてきた触感そのもの、日本の伝統ここに再現できたことを確認してください。

実際に絹糸絃の音色で大脳皮質をリラックスさせたあとに聞き慣れた洋楽を聴いてみると何故か聞き慣れた洋楽でも新鮮に聴こえるのです。想像するに大脳聴覚皮質というハードディスクがDNA とシンクロした絹糸の音色によって相当量データの再配列化が成されるのではないでしょうか。

分かりやすくいえば散らかった部屋を即行で整頓された部屋にしてくれる、といえば分かり易いかもしれません。何事も個人差があるので妙なことは書けませんが少なくとも日本人にとって絹糸絃は不快な音色ではないことは間違いないでしょう。